平均にも種類がある!? 相加平均・相乗平均・調和平均のお話

平均にも種類がある!? 相加平均・相乗平均・調和平均のお話

確率や統計を勉強していると、平均の欠点として「一部の金持ちが平均所得を上げて平均年収が高くなったりする例」がよくあります。
そういう時は、以下のような値も使って、実情に近い傾向をみたりします。
1, 中央値(メディアン。金額の平均ではなく年収順に並べて、ちょうど真ん中の値)
2, 最頻値(モード。多くの人が貯金0円の人だと、平均値より実情を表せる)

ただし、平均にも3種類あるらしい。
1, 相加平均(算術平均,arithmetic mean)
2, 相乗平均(幾何平均,geometric mean)
3, 調和平均(harmonic mean)

1, 相加平均(そうかへいきん)
いわゆる平均。全ての値を足して、足した個数で割る
例)
年収200万・300万・400万の人がいたら、(200+300+400)/3 = 300万円が平均

2, 相乗平均(そうじょうへいきん)
全ての値をかけて、値の個数の累乗根する。電卓がないと無理
年収が10万円・100万・1000万の極端な3人の平均年収を、相加平均で考えると100万円だし、中央値も同じ。
相乗平均で計算すると、200万円という多少マシな平均値が出ていくる(指数的に値のバラツキが大きい時に意味のある値になる)
3√10*100*1000=200万円

3, 調和平均
定義が「逆数の平均の逆数」というバカボンのパパの「賛成の反対!反対の賛成なのだ」という訳の分からないという印象しかない。

【逆数の定義】
逆数とは、ある値に対して掛け算すると1になる値。
xに対して1/x
計算操作としては、分子と分母を入れ替えると、逆数になる(x/1と1/x)
逆数の逆数は、元の値に戻る
x(元の値)
1/x(逆数)
x(逆数の逆数)
1/x(逆数の逆数の逆数)
….とコインの裏表のように繰り返される。

行きと帰りで速度が違う往復の平均速度の例が、よく書いてある。

例)
行きが時速4km、帰りが時速8kmなら、平均時速は?
答えは(4+8)/2=6で、時速6kmと言いたくなるが不正解!

片道8kmあったと仮定すると3時間かかる(行き2時間、帰り1時間)
距離は往復16kmなので、16km/3時間 = 時速5.33km
これは相加平均的な記述なので、最初の「逆数の平均の逆数」で表現すると
2/((1/4)+(1/8))=5.33km

もう少し細かい計算を記述すると
行きの平均時速の逆数= 時速1/4km
帰りの平均時速の逆数= 時速1/8km
ここで逆数の平均を出すと
時速3/8km=時速0.375km

元に戻すために、計算した逆数の平均から逆数にする(1/xでは無く2/xになっているのは、行きと帰りの速度が2個のため)
2/(3/8)=2*(8/3)=16/3=時速5.33km

【まとめ】
基本的な考え方は
足し算(相加平均) or
掛け算(相乗平均) or
逆数(調和平均)
してから平均を計算し、逆演算(元に戻す計算)しているだけ!って事なのね。

ちなみに3種類の平均値の大きさには、以下の様な関係性らしい。
相加平均≧相乗平均≧調和平均