「図解 フロンティア」という19世紀のアメリカ(西部開拓時代)についての本を読んでみた感想。
「臆病者は出かけなかったし、弱虫は生き残れなかった」というキャッチフレーズに惹かれて購入。
今どき西部劇か〜と思いながら読んでみたら、意外と面白かった。
有名な「ゴールドラッシュ」とか「OK牧場の戦い」とかは、さらりと触れる程度で、むしろ当時の生活習慣にフォーカスが当てられていた。
特にインディアンの生活・文化についても多くのページが割かれている。
個人的には、やはり食文化についての記述が嬉しい。
サルーン(酒場の意味、フランス語のサロン(社交界・社交場)から)にあるフリーランチという習慣は、初めて知った。
お酒を二杯注文すれば食べ放題になる「ニシンの塩漬け」や「プレッツェル」がテーブルの上に出しっぱなしだったらしい。
当然というか、注文をせずに勝手に食べる浮浪者や失業者もいて、木槌!で追い出されたりしたとか(^_^;)
中には掃除などを手伝って残り物をもらっていた人もいたらしいので、いつの時代も交渉次第だな〜と思う。
ゴールドラッシュなどで人が急激に増えた時のブームタウン(プレハブに縦割りをつけたような掘っ立て小屋だらけの町)なんかも面白かった。
トイレも当然というか穴を掘っただけ。しかもサソリや毒グモなんかもいて、用を足すだけで命がけという(苦笑)
わりとファンタジーやスペオペの酒場の原点となった感じですね。
20世紀は激動の時代と言われていますが、19世紀半ば〜後半も、なかなかスゴい。
黒人奴隷が廃止された後は、安価な単純労働力が不足したために、アヘン戦争で国を逃げ出したり誘拐してきた中国人を奴隷同然に使う苦力(クーリー)という存在があったり…。
額には雇用主の焼き印を押されたりして、大陸横断鉄道の労働は苛烈を極め「枕木一本に一人の中国人の骨がある」と言われるほどだったらしい!
また、南北戦争で使い終わった大砲や銃器を戊辰戦争用に日本に売りつけたりして、メリケンの戦争屋(ウォーモンガー)っぷりがハンパねえ(苦笑)
こういった横の世界史的なのは、あんまり教科書では教えないからね〜。